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PEOPLE 09

PEOPLE 09

研究事業部研究助成第三課

専門員  M.A.

採用年月:2007年4月採用
出身学部:理学研究科物理学・宇宙物理学専攻宇宙物理学分野(博士後期課程修了)

現在の職務内容

科研費の国際種目

 科学研究費助成事業(科研費)のうち、主に国際共同研究加速基金を担当しています。今の仕事としては、まず来年度新たに始まる国際先導研究の公募に向けた準備があります。科研費の中で最も長期間・大規模に国際共同研究を支援する種目となる見込みで、研究者育成などのこれまでにない要素もいくつも入っているため、時間がない中で多岐にわたる検討事項に追われています。また、年末年始をはさんで国際共同研究強化(A)の審査会を開催しており、担当する日は丸1日会議につきっきりになります。同時期に基盤研究(A)の審査会もあり、この時期は科研費担当の最も忙しい時期の一つとなっています。さらにその合間を縫って、こうした事業の採択者を対象に将来の国際的研究リーダーの交流の場を提供するJSPS-LEADSNET事業研究者交流会の準備も進めています。いずれも日本の研究者(特に若手)が国際経験を積み、日本の学術のプレゼンスを高めることが目的です。

JSPSを志望した理由

「学振」から「学振」へ

 天文学の研究者志望でしたがD2の年末くらいに経済的な事情でやむなく就活をすると決め、研究にできるだけ近い仕事をしたいと思って就職先を探し始めました。当時は自身が学振の特別研究員(DC1)に採用されていたほか、所属大講座の教員全員が科研費を持っており、外国人招聘事業を利用して指導教員がカナダから研究者を招いていたこともあって、たまたまですが学振の三大事業全てと縁がありました。それもあって学振の存在自体は大変身近でしたので、就職先として学振を認識したのはその時が初めてでしたが、選択肢としては自然に浮かびました。特別研究員のことを「学振」と呼ぶくらい研究者業界では知名度があり、自分も日頃お世話になっているこんなにありがたい事業をやっている組織なら変なところではなかろうというイメージは持っていましたし、調べてみると昭和天皇の御下賜金で始まった由緒正しい組織とのことで、他とは随分違う印象を持ち、ほぼ一択で学振に就職を決めました(当時は説明会なども一切なかったため、イメージというかほぼ直観だけでの選択でしたが、今思うと随分と思い切ったことをしたとも思います)。他の法人等は研究(特に基礎研究)という言葉を実用や開発のためのツールのような考え方で捉えており、広く大学等で行っている学術研究を想定して支援しているのはほぼ学振のみという事実を後で知ることになるのですが、自分の思っているものに近い研究支援ができるという意味では学振を選んでおいてよかったとつくづく思います。

業務において印象的だった出来事

残る仕事、残らない仕事

 科研費の業務はこれまで何度かやってきて、どれも立ち上げに関係することでそれぞれいろいろな苦労や思い出がありますが、平成30年に向けた科研費審査の大改革はその初期の頃から見ており、実装にあたって自分が当事者となって総合審査の立ち上げに関与することになったこともあって特に印象深いです。時間が限られていた上、様々な制約の中ではありましたが、審査の理想型にまで立ち返って議論・検討する機会も多く、そのいくつかは現実に今の科研費審査の中に取り入れられています。これに限りませんが、自分のした仕事がよい意味で残っていくのは誇らしく、そうしたやりがいは大きいです。一方、表に出て行かない仕事も多いですが、それもまた重要でやりがいもあります。最も簡単な例は良いものをそのまま変えずに残していくことですが、これは実際は全く簡単ではなく、非常に多くの関係者を巻き込んだ様々な努力が常に必要です。

就職活動中の方へのメッセージ

学術支援の本流として

 いわゆる研究支援職も様々ですが、例えば中央省庁は行政の一部として研究を扱い、関係先として財務省や政権(政治家)といった要素がより大きくなりますし、研究系独法はそれぞれのミッションが、各大学はそれぞれの大学の発展が優先されることもあって、その目的は一つではなく、時として研究者個人の志向と対立することもあります。一方、学振はその名の示すとおり学術研究そのものの健全な発展や個人としての研究者のサポートに注目しているのが最大の特徴であり、その優先順がぶれることはありません。原点に立ち返ると必ず研究者の方を向いて仕事ができるのは学振の最もよいところだと思っていますし、その意味でオンリーワンの組織とも言っても過言ではありません。反面、そこに気がついて仕事をしている人は実はあまり多くはなく、もっと内外に理解してもらう必要があると感じています。

職歴/略歴

MY CAREER

2007年4月
研究事業部研究助成第二課(科研費特別推進研究・学術創成研究費(文科省からの移管対応、海外審査立ち上げ等))
2009年7月
研究事業部研究事業課(世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)(中間評価立ち上げ、新規公募等))
2012年12月
海外語学研修(英国)
2013年12月
総務企画部付(広報担当、グローバル学術情報センター担当、その他特命事項担当)
2016年4月
研究事業部研究助成企画課(科研費挑戦的研究の公募・審査(総合審査の立ち上げ)等)
2018年7月
国際統括本部国際企画課(国際共同研究事業の公募・審査・管理(英国UKRI、ドイツDFG、スイスSNSF、中国NSFC))
2019年9月
ロンドン研究連絡センター(日英の国際学術交流、オフィス管理(コロナ対応)等)
2021年10月
研究事業部研究助成第三課/研究助成企画課(科研費国際先導研究の立ち上げ等)